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【オキシトシン情報局】オキシトシンに期待されていること

監修:まさのメディカルクリニック 冨田雅乃
オキシトシンと新しく期待されている治療効果とは?

オキシトシンとは?

オキシトシンはホルモンの一つで脳から分泌される成分です。製剤としては陣痛を促したり、母乳がよく出るようにする目的で使用されていました。近年では自閉症スペクトラム障害や更年期障害など精神障害に関連した症状の安定をもたらす要素として注目を浴び、研究が進められています。
2010年には金沢大学こどものこころ発達センターにてオキシトシンの投与により自閉症患者の症状が改善した発表がされています。

ネガティヴな社会性の行動を緩和する可能性が見られることから「愛情ホルモン・社会性ホルモン」などと呼ばれる場合もあり該当する症状の人や親族の方々への注目度が年々高まってきています。

メンタル要素でのオキシトシン効果の事例

臨床実験では血液中のオキシトシン濃度が高いことで良好な人間関係が形成された報告がなされていますが併せて「高すぎると逆効果」ということも報告されています。

受け止める側である受容体の働きにも注目

オキシトシンによる作用は受容体との結合により、効果的な働きがされるのではないかという見方もされています。この受容体は幼児期に適切に親から愛情を注がれることで増えていくとされいるため、オキシトシンは愛着障害への関係性も指摘されています。

オキシトシンの注意点

前述した事例でオキシトシンの血中濃度が異常に高いとマイナス効果の報告がありますので個人個人で用法・容量は慎重に行うべきものと思われます。安易な個人輸入による使用はお勧めできません。真剣に悩んでいて近くに相談できる医療機関もないのであれば100歩譲っても少しずつ始めノートなどに記載し状況を記録するべきでしょう。

また幼児などへの利用はされていません。監修の冨田先生が自閉症患者さんへ利用を検討するのは中学生以上とのことです。ラット実験では幼若期のオキシトシンの作用は悪影響を懸念する論文なども見られるので個人輸入などで幼少期のお子さんに勝手に使用するなどはしないでください。

従来の各方面での治療法との相乗効果も期待できるオキシトシン

配慮に欠けたオキシトシンの使用は避けるべきですが注射での摂取やオキシトシンそのものに過剰反応してしまうような方を除いては重大な副作用は確認されていないため様々な方面での治療法に加えて行う相乗効果も事例として報告はされています。

冨田先生の周辺では自閉症スペクトラム症ではリスペリドンの容量を調節しオキシトシンの併用で行動の安定性の向上や言語機能の向上としてビタミンB12のメチコバール投与後「いつ、どこで、誰がどうした」といった動詞への理解が深まり、言葉・文章ともに良い影響が見られるお話なども聞かせていただいています。

また愛情ホルモンとも呼ばれるだけあってED治療の充実面からのアプローチも試みがなされています。ED治療では知名度としてはバイアグラが有名かもしれませんが製薬会社がシェア1位を発表したこともある「シアリス」では早漏治療としても使用されるため感度の低下が副作用として挙げられていますがオキシトシンの併用により「満たされる」観点からも好意的な声があがってきています。

いずれも単独での効果の検証など厳密性はまだまだ研究されていくべきものだと思いますし、EDなど性生活での精神的充実を謳うなどは眉をひそめるケースも十分に考えられますので判断としては冷静に見ていくべきことですが、真剣に悩んでいる方へ悩みを解消する可能性を広げるものとしては研究の進捗に期待していきたいものではあります。

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